あらすじ

深夜まで残業し、事務所で最後まで残っていた女性同僚二人には、それぞれ迎えに来た恋人がいた。二人に別れを告げ、オフィスビルの前で怜司にメッセージを送った。 「迎えに来てくれる? 会いたい」  三十分ほどして、ようやく返信が来た。 「今夜中に出す書類がまだ残ってる。どうしても手が離せないんだ。落ち着いたら、ちゃんと時間を作るから」  怜司とは六年付き合い、四年前から一緒に暮らしている。二か月前に婚約し、明後日には市役所へ婚姻届を出す予定だった。私が会いたいと言っても、依頼者との打ち合わせか、公判の準備か。私はいつも仕事なら仕方がないと自分に言い聞かせてきた。  タクシーを呼ぼうとバッグを肩に掛けた、そのときだった。道路の向こう側に、見慣れた二人の姿があった。怜司はコンビニの前で片膝をつき、相沢莉奈の足首を支えながら腫れたところを見ている。莉奈はそんな彼を見下ろし、うれしそうに目を細めていた。怜司が着ているのは、私が贈ったお揃いのコートだった。

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カクヨム
カクヨム2026/08/10
  • 現在の作品結婚式前夜。婚約者は愛人を抱き、土砂降りの雨の中に私を置き去りにして死なせた