あらすじ
真空ポンプ会社の売掛金を調べている最中、僕は夏川芽衣に彼氏ができたことを知った。
もちろん、その二つの出来事には何の関係もない。
株式投資では情報を集め、QAの仕事では不具合を再現し、原因が分からなければ「調査中」と書けばいい。
ところが、人間関係だけはそう簡単にいかなかった。
既読、返信の速さ、プロフィールのタグ、会話の温度差。
わずかな証拠から仮説を増やし、相手の気持ちを推理し、それでも最後まで答えは出ない。
これは、空気を読むのが少し苦手な男が、恋愛という再現不能な不具合に振り回される話。
十三日前、僕はただ、知らない女の子と十分だけ電話するつもりだった。
彼女は電話の向こうで、二時間笑った。