あらすじ
中学一年生の根本蒼は、幼なじみの綾瀬大河、高村晃といつも一緒にいた。
人を傷つけることが嫌いなはずなのに、二人に流され、同じクラスの少年・花澤光をからかってしまう。
花が大好きで、朝早くから一人で花壇に水をあげる光。
学習障害によって文字を読むことに苦労し、家では母親から暴力を受けながらも、光は誰かの悩みに優しく寄り添う少年だった。
そんな光の優しさを知るほど、蒼は自分たちが光を傷つけていることに耐えられなくなっていく。
そして、ついに――
「もうやめろよ」
その一言から、二人の関係は変わり始める。
竹内菜乃花、真部凛、吉田美玖たちとの出会い。
初めて「友達になりたい」と言われた日。
図書室で一緒に勉強した日。
テスト、学園祭、音楽祭、休日のサイクリング。
喧嘩して、仲直りして、笑い合って。
母親に家を追い出され施設で暮らすことになった光にも、少しずつ「帰りたい」と思える場所が増えていく。
そして蒼もまた、光への気持ちが友情ではないことに気づいていく。
しかし、幸せな日々の中で光に心臓の病気が見つかる。
病状は少しずつ悪化し、中学三年生の冬、光は医師から残された時間が一年ほどかもしれないと告げられる。
それでも光は高校生になることを諦めなかった。
卒業式の日。
蒼はついに、
「光が好き」
と想いを伝える。
別々の高校へ進んだ二人は恋人となり、春には花園へ、夏には仲間たちと海へ、秋にはキャンプへ。
限られた時間の中で、たくさんの思い出を重ねていく。
けれど冬――。
蒼との次の約束を残したまま、光の心臓はその鼓動を止める。
光が眠ることになったのは、かつて蒼と二人だけの秘密にしていた、花の咲く丘。
そして十年後。
大人になった仲間たちは、再びその丘に集まる。
風に揺れる白いカスミソウを見つめながら、美玖が呟いた。
「なんか、光が来てる気がする」
姿が見えなくなっても、
一緒に過ごした時間は消えない。
大切な人を想う心も消えない。
これは、孤独だった一人の少年が仲間と出会い、「普通の青春」を知る物語。
そして、かつて彼を傷つけた少年が、本当の愛を知る物語。
『カスミソウを君に』
花言葉は――
「永遠の愛」。