あらすじ
「ジェイド殿下との婚約、破棄させていただきます」——夜会で高らかに宣言されたその瞬間、公爵令嬢フィオナ・ラングドンは、込み上げる笑いを堪えるのに必死だった。(ようやく、自由になれる)。
フィオナには秘密があった。悪役令嬢と恐れられる仮面の下、その正体は毒物・薬学研究の第一人者。婚約者の目を盗んで七年間積み重ねてきた研究は、既に宮廷薬師長すら凌ぐ域に達していたのだ。
「せいせいいたしました」——晴れやかに笑うフィオナに、殿下も、取って代わった令嬢も困惑を隠せない。だが誰も知らない。彼女を手放したことが、この国にとってどれほどの損失になるかを。
そんな彼女のもとに、隣国の使者から思わぬ依頼が舞い込む。静かな隠居生活のはずが、毒姫フィオナの物語は、思いがけない方向へと動き出す——。