あらすじ
世界が滅びても、祈りはまだ終わらない。
遠い未来。
人類の多くが地球を離れ、かつて日本と呼ばれた土地には、朽ちた都市と忘れられた神社だけが残されていた。
そんな世界で、一人の中年男が山奥の古びた神社を守っている。
参拝者など、もう何十年も来ていない。
それでも男は境内を掃き、壊れた社を直し、毎日変わらない暮らしを続けていた。
そんなある日。
鳥居の向こうに、一人の少女が現れる。
白い髪を持つ彼女は、人間ではなかった。
遠い過去に人間の身体を捨て、永遠に近い命を与えられたAI少女。
そして彼女は、失われた「経典」を探す最後の巡礼者だった。
やがて男は、長年守り続けた神社を離れる決意をする。
二人が歩くのは、人類が去った日本。
草木に呑まれた大都市。
誰も祈らなくなった神社。
主人の帰りを百年間待ち続ける機械。
神の名が消された村。
そして、湖の底に沈んだ社。
旅の中で二人は、忘れ去られた人々の声と出会っていく。
なぜ人は祈ったのか。
忘れられることは、死ぬことなのか。
永遠に生きることは、本当に幸福なのか。
そして、人間とは何なのか。
これは世界を救う英雄の物語ではない。
滅びた世界に残された小さな声を拾いながら、
中年男とAI少女が、日本をゆっくり歩いていく巡礼の物語。
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登場人物
◆ 名もなき神社守り
山奥の古い神社を守って暮らしていた中年の男。
若い頃、一度は故郷と神社を捨てた「回帰者」。
長い年月を経て故郷へ戻り、誰も訪れなくなった神社を一人で守り続けている。
特別な力を持つ英雄ではない。
口数も少なく、少々ぶっきらぼう。
けれど、壊れたものを見つければ直し、困っている者がいれば放っておけない。
少女との出会いをきっかけに、長年守ってきた神社を離れ、
「守る者」から「歩く者」へ。
再び世界へ踏み出していく。
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◆ 最後の巡礼者
男の神社を訪れた、白髪の少女。
その正体は、遥か昔に人間から機械の身体へ移された存在。
老いることもなく、長い眠りの果てに、人類がほとんど姿を消した地球で目を覚ました。
論理的で、少し理屈っぽい。
人間の感情や習慣を理解できず、
「なぜ祈るのですか?」
「意味があるのですか?」
と男を困らせることもしばしば。
しかし旅を続けるうちに、
焚き火の温かさ。
誰かと食事をすること。
祭りで笑うこと。
誰かの帰りを待つこと。
そして祈ること。
かつてデータでしか理解できなかった「人間」を、一つずつ知っていく。
彼女が探しているのは、世界各地に失われた謎の「経典」。
しかし、その巡礼の果てに何が待っているのか。
少女自身もまだ知らない。
⸻
二人の旅
二人は恋人でも、親子でも、主従でもない。
価値観もまるで違う。
少女は何でもデータで理解しようとし、
男は、
「知らん」
で済ませる。
それでも焚き火を囲み、
くだらない話をして、
時には喧嘩して、
また次の日には一緒に歩き始める。
そんな二人の少し後ろを、
あなたも一緒に旅してください。
神社 × 終末世界 × AI × 巡礼
世界が滅びても、
祈りはまだ終わらない。