あらすじ
帝国の将来を担う少年少女たちが集められた、全寮制の名門――帝国学院。
入学の日、特待生として学院を訪れた葵、繭、統馬、柊一郎、硝子、蓮たちは、奇妙な光景を目にする。
中庭に佇む黒い鳥。
誰もいないはずの場所から聞こえる声。
人によって姿の異なる額縁。
図書館や礼拝堂から、じっと生徒たちを見つめる無数の視線。
それらを認識できる者と、できない者。
姿までは見えずとも、異様な気配だけを感じ取る者。
生徒たちが戸惑う一方、学院の特別顧問・龍雅院凜人は、その反応を静かに記録していた。
彼らが「学院案内」だと思っているものは、すでに始まっている選別試験だったのだ。
そして寮へ到着しても試験は終わらない。
親の軍階級さえ意味を失う部屋割り。
人間とはどこか異なる寮監。
入学を祝う豪華な夕食――その皿の上に、一部の生徒だけが見る異形。
恐怖、疑念、忠誠、冷静さ。
それぞれが異なる反応を見せる中、目立つことを何より避けたい少年・葵は、自らの行動が周囲を動かしていることに気づかない。
そんな彼を、神・久遠はすでに見つめていた。
これは帝国を担う人材を育てる学院――ではない。
神の「器」となり得る者を見つけ出すための、巨大な選別場。
少年少女たちの長い学院生活は、本人たちの知らぬところで静かに始まった。