あらすじ
むかしむかし、森の奥深くにちいさな村がありました。
山あいから流れる清い湧き水は、もう長いあいだ、村の人びとを支えてきました。
山の麓から山はだを見上げると、緑の中にきらきらひかる一筋の水流は、天駆ける龍のすがたに似ていました。
やがて、村の人びとは、その恩恵に畏怖と感謝の気持ちをもって、龍の社を建てました。
しばらくすると、数十年にいちど、本当に龍のすがたを見たという村びとが現れるようになりました。
けれど皆、龍に出会えるのは一生にいちど、にど程度。
龍と人間では、寿命の長さがあまりにちがっていました。
龍は、人間がすぐに死んでしまうことを知っていましたが、興味がありませんでした。
ある日、ある村娘に出会うまでは。