あらすじ
神奈川県厚木市に住む男性が、深夜の交通事故で救急搬送された。
搬送先として告げられたのは、「八坂第三病院」。
四階建ての、真新しい病院だった。
左右には普通の住宅が並び、院内には医師も看護師も、ほかの患者もいた。
傷の処置を受け、膝を縫い、点滴まで受けている。
何もおかしなところはなかった。
ただ、退院したあとに調べてみると、その病院はどこにも存在していなかった。
Googleにも、地図にも、医療機関のデータベースにも。
名刺に書かれていた電話番号は使われておらず、住所を訪ねても病院はない。
それでも、男性の傷は確かにそこで処置されていた。
そして彼がスマートフォンで撮影した病院の写真には、ひとつだけ奇妙な問題があった。
――何度試しても、誰にも送ることができない。
これは、5ちゃんねるに投稿された一件の書き込みから始まった。
私はその投稿を見つけた。
最初は、よくあるネットの怪談だと思っていた。
だから、調べることにした。
「八坂第三病院」について、確認できたこと。
確認できなかったこと。
そして、取材の途中で見つかったいくつかの記録を、ここに残しておく。
※本作は、ネット上の書き込み、取材記録、証言等をもとに構成したフィクションです。