あらすじ

女の名に、誰が値をつけるのか――

天保十三年、大坂。

ある日、一枚の町触が下りた。

芸者も舞子も仲居も、**遊郭の外では稼いではならない**――。

十六から六年、唄と三味線で座敷を渡ってきた芸者・お糸。
だが役所の紙一枚で、その仕事も、「芸者」という名も消されようとしていた。

店を残すために名を変える者。
借金のため、新町へ送られる者。
町触を商いに変えようとする者。

灯が一つずつ消えていく大坂で、お糸は思う。

芸者でなくなれば、自分は何になるのか。
役所が仕事の名を決めても、女の生き方まで決められるのか。

紙に名を奪われようとする一人の芸者が、
唄と三味線、そして座敷で磨いた目を武器に、自分の残り方を探してゆく。

天保の改革に揺れる大坂を描く、実際の町触れを膨らませた歴史サスペンス。

◆◇◆

本作は、日本歴史時代作家協会にて2026年7月26日に開催された合評会へ提出した
『糸の名を奪う――天保の町触』に、事件・サスペンス要素などを大幅に加筆・再構成した作品です。

よろしければ、旧稿との違いもあわせてお楽しみください。

【旧稿『糸の名を奪う――天保の町触』】
https://rekishijidai.com/2026/07/sanryu_ryoshiro01/

【参考文献】
吉元加奈美(2013)
「近世大坂における遊所統制――町触を素材に――」
『都市文化研究』15巻、pp.13-27.

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アルファポリス
アルファポリス2026/08/10
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