あらすじ

石川県金沢市。幸福に見えた二つの家族の日常に、誰にも気づかれない不協和音が混じり始めていた。 格式高い「東山」に住む長谷川家と、モダンな「太陽が丘」に住む神谷家。娘同士が親友であることをきっかけに、二つの家族は理想的な交流を続けていた。 すべては、幸福の象徴だったひとつの鍋を囲む、穏やかな夕食から始まった。 だが、完璧に調律されていたはずの平穏に、いつしか微かな不協和音が混じり始める。 正論を積み重ね、家族を守ろうとする父。 「完璧な妻」という役割に窒息しかけていた母。 そして、その変化を何も語らず、ただ静かに見つめ続ける建築士・恒一。 誰一人として「悪人」はいない。 皆、自分なりの正しさを補強するために砂を積み上げ、その結果として、自らを閉じ込める「檻」を築いていく。 金沢の静かな雨が降り続く町で、誰にも気付かれないまま家族は少しずつ壊れていく。 人は、誰の「正しさ」に救われ、誰の「正しさ」に壊されるのか。 積み上げられた「砂の上の楼閣」は、音もなく崩れ落ちる。 その瓦礫の中で笑っているのは、家族か、それとも誰か。 家族という最も身近な場所で始まる心理サスペンス。

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カクヨム
カクヨム2026/08/09
  • 現在の作品砂の上の楼閣:崩壊編