あらすじ
神々が治める、数多の国。
そこには「記憶」「時」「死」「宿命」「混沌」――世界を形作る概念そのものを司る神々が存在していた。
「記憶」の国では、忘却は許されない。
見たものも、聞いたものも、誰かが抱いた感情さえも、すべてが記憶として残され、やがて「記憶」の神へと還っていく。
その国で生まれた使者は、生まれた瞬間から記憶する術を知っている。
――ただ一人を除いて。
主人公は、何も覚えていられない。
見たものも、聞いたことも、気づけば霧のように消えてしまう。
使者としての役目を果たせない彼女は、周囲から「欠陥」と呼ばれながら、それでも変わらない日々を過ごしていた。
ある日、彼女は「記憶の海」に触れようとした瞬間、不思議な光景を見る。
見たことのない空。
どこまでも続く草原。
そして、誰かの笑い声。
その直後、彼女は「記憶」の神に呼び出される。
そこで告げられたのは、思いもよらない事実だった。
――彼女が生まれたという記憶は、どこにも存在しない。
なぜ自分は生まれたのか。
自分は何者なのか。
なぜ自分だけが、記憶を失うのか。
「記憶」の神でさえ、その答えを知らない。
だから彼女は、神々の国を巡る旅に出る。
自分自身を知るために。
失われた記憶を探すために。