あらすじ
中学時代、いじめによって人生を止められた大学生・成瀬遼。
七年後。
遼は、かつて自分を追い詰めた主犯・久保田颯真を殺した。
逃げるつもりはなかった。
翌朝になれば、自分から警察へ行くつもりだった。
だが――
久保田颯真は、この世界から消えていた。
連絡先も、写真も、学校の記録もない。
母親でさえ、息子がいたことを覚えていない。
最初から存在しなかったことになっている。
覚えているのは、遼だけ。
そして遼の中には、殺したはずの颯真の記憶と、彼が生きていた痕跡のようなものが残されていた。
なぜ、颯真は消えたのか。
なぜ、自分だけが覚えているのか。
答えが分からないまま、遼はかつて自分を傷つけた人間たちの「現在」を追い始める。
しかし、七年前の加害者たちは、遼の記憶の中にいる彼らとは違っていた。
後悔している者。
変わろうとしている者。
誰かを守って生きている者。
過去に人を傷つけた人間が、その後どんな人生を送れば許されるのか。
そして――
殺した人間が消えるたび、
遼の人生にも、少しずつ変化が起きていく。
失ったはずのものが増えていく。
その代わりに、
何かが少しずつ失われていく。
最後に残る「僕」は、誰なのか。
記憶と罪、被害者と加害者、そして自分自身をめぐる青春SFサスペンス。