あらすじ
高校二年生の春。
朝倉雫は、人と深く関わることを避けて生きていた。
中学時代、大切だった親友と喧嘩別れしたことをきっかけに、「大切な人ほど、いつかいなくなる」と思うようになったからだ。
そんな雫のクラスに、水瀬映流という少年が転校してくる。
明るく、人懐っこくて、いつも笑っている映流。写真部に入った彼は、古いフィルムカメラを手に、教室や通学路、雨上がりの空など、何でもない日常ばかりを撮っていた。
ある日、映流は雫に提案する。
「俺と一日一枚、写真撮らない?」
最初は拒んでいた雫だったが、映流と過ごすうちに少しずつ変わっていく。
雨宿りしたバス停。
笑い合った体育祭。
二人で歩いた夏の海。
夜空いっぱいに広がった花火。
一日一枚増えていく写真とともに、雫の中で映流の存在も大きくなっていった。
やがて雫は、映流に恋をする。
けれど、映流には雫に言えない秘密があった。
病院から出てくる彼。
時折見せる苦しそうな表情。
そして、何気なく口にする「来年も」という言葉。
なぜ映流は、これほどまでに「普通の日」を写真に残そうとするのか。
その理由を知ったとき、雫は初めて、大切な人を失うかもしれない恐怖と向き合うことになる。
「また会えるとは限らないから」と、“またね”が嫌いだった雫。
「また会いたい人に言うんだよ」と、“またね”を口にする映流。
限りある時間の中で二人が見つけたのは、永遠ではなく、今この瞬間を誰かと大切に生きることだった。
一日一枚の写真から始まった、二人の恋。
これは、別れを恐れて誰も愛せなかった少女が、一人の少年との出会いと恋を通して、「またね」と未来を信じられるようになるまでの青春恋愛物語。