あらすじ
神の加護か、それとも悪戯か。
後継ぎを渇望した貴族たちの願いは、いつしか歪な形となって現れた。
男子ばかりが生まれること十数年――。
今や男女比は八対二。
国中が血眼になって花嫁を探す、空前の「令嬢争奪戦」時代が幕を開けていた。
その狂騒の波は、没落令嬢であるリリア・アシュフォードの元にも届いていた。
二年前に父を亡くし、爵位を返上した身でありながら、彼女の元には毎日、山のような求婚状が舞い込む。
だが、リリアは決めていた。
「二十歳までは、自分の好きなことをして生きる」と。
リリアの好きなこと、それは本。
現在、彼女は憧れの宮廷図書館で司書補佐として働いている。
そこで嫌でも耳にするのは、この国の王太子殿下、アルベール・ソル・レジスの噂。
容姿端麗、文武両道。非の打ち所がない完璧な彼が、なぜか十二人もの妃候補に辞退され、独身を貫いているという。
「あんなに完璧なお方なのに、どうして?」
他人事として首を傾げていたリリア。
しかし、図書館での「あるメモ」をきっかけに、彼女は王太子の運命を左右する「前代未聞の任務」へと巻き込まれていくことになる――。