あらすじ

親しくない人間が一人でも混ざると、喉の奥の小石は一瞬で拳大の岩へと膨れあがるー。 気心の知れた親友の前では饒舌なのに、少しでも疎遠な人がいると途端に言葉を失ってしまう三十歳の中西。印刷会社で書類の山と向き合う彼は、「自分はこういう人間なのだ」と諦めにも似た折り合いをつけて暮らしていた。 そんな夏の夕暮れ、高校時代の友人から届いたBBQへの誘い。 いつもなら即座に断りの口実を捏造するところだったが、赤く焼けた空と惨めな自分の影に押され、中西は衝動的に「行く」と返信してしまう。 猛暑の多摩川河川敷、焦げる肉の匂い、乾杯の歓声。 賑やかな輪の外側で透明な壁を感じながら、ただ黙々とトングを握り続ける中西。 相変わらず不器用で、成長も変化もない自分に打ちひしがれる彼だったが、アパートに帰り着き、Tシャツに染み付いた「煙の匂い」に触れたとき、胸の中に小さな変化が訪れる。 大きな劇劇的ドラマは起こらない。けれど、一歩を踏み出したすべての人に寄り添う、ささやかで温かな等身大のスペクタクル作品物語。

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小説を読もう2026/08/10
  • 現在の作品喉の奥の小石