あらすじ
二十五年前、勇者になれなかった五人の男たちがいた。
彼らは魔王軍に奪われた『黒門砦』で三日三晩戦い、王都を救った。しかし王国はその功績を王太子のものとし、仲間のレオンを反逆者として処刑した。
残された四人も、歴史の中では戦場から逃げた臆病者にされた。
それから二十五年。
四十七歳になったガルドは剣を置き、辺境の酒場で用心棒をしていた。膝は痛み、身体は鈍り、かつての仲間とも絶交した。自分の人生は、あの日に終わったと思っていた。
そんな彼のもとへ、王国から一通の召集状が届く。
新たな勇者に選ばれた若き王子を、『黒門砦』まで案内せよ。
その王子は、ガルドたちからすべてを奪った男の息子だった。
助ける義理などない。見捨てれば復讐になる。それでもガルドは、十年ぶりに錆びた剣を握る。
「親父の罪を、息子に払わせるのか?」
「違う。俺たちが、あのクソ野郎と同じ人間になるかどうかって話だ」
腹の出た元騎士。腰を痛めた元天才魔術師。神を信じられなくなった禿頭の元神官。
夢に敗れ、人生にも負けた四人のおっさんが、二十五年ぶりに集まった。
昔のようには走れない。格好よくも戦えない。それでも、背中を預ける相手だけは間違えない。
これは勇者になれなかった男たちが、最後に誰かの勇者になる物語。