あらすじ
あらすじ
両親を失った十歳の少年・湊は、たった一人の妹、十五歳の花を守るために学校を捨てた。
それから七年。
彼は朝から夜まで働き、狭いアパートで妹と二人きりの生活を続けていた。
自分の未来も、青春も、夢も――すべてを妹のために捨てて。
そしてある日、彼は妹に何も告げず、自分の身体さえ犠牲にして金を手に入れようとする。
だが、待っていたのは裏切りだった。
片目を失い、何も得られないまま帰宅した湊は、妹にただ一言だけ告げる。
「仕事で、ちょっと怪我しただけだ」
その夜。
東京の空に、異様な月蝕が起こった。
月が完全に闇へと沈んだ瞬間、世界から光が消える。
そして次に二人が目を覚ました時――そこに東京はなかった。
見知らぬ森。
三つの月。
人間とは異なる生物。
そして、この世界に隠された不可解な力。
二人は生き残るため、互いを支えながら異世界を歩き始める。
だが、この世界で待っていたのは、元の世界よりも残酷な現実だった。
力を得るために必要なのは、才能ではない。
「犠牲」だった。
守るために、何かを捨てる。
生きるために、何かを失う。
そして湊は知ることになる。
妹を守るために、自分はいったい――
どこまで犠牲にできるのか。