あらすじ
首の怪我によって、身体の自由を失った男。
ある夜、彼は奇妙な夢を見る。
肉体を失い、魂だけとなった自分。
叡智と真理が満ちる不可思議な空間。
そして、極光から姿を現した名もなき女神。
「力を授けましょう」
「魔女はほどなく、あなたを見つけます」
目覚めた男の魂には、対象に宿る力を読み解く《アナライズ》が刻まれていた。
やがて彼の前に現れる、血塗られたように赤い扉。
その先にいたのは、神々に追われ、世界から身を隠して生きる“幽世《かくりよ》の魔女”モルウェナだった。
そして男は知る。
自分の魂が、人ならざる肉体――キメラの核に宿されたことを。
異なる生物の肉体を取り込み、その力を継ぐ。
喰らった命から性質を得る。
時には魂すら混ぜ、自らの在り方を変えていく。
名前さえ失った男は、無数の生命を継ぎながら、新たな身体を作り上げていく。
けれど彼はまだ知らない。
女神がなぜ自分を選んだのか。
モルウェナがなぜキメラを作り続けるのか。
そして――その身体が、本当は誰のために作られているのかを。
これは、名を失った一つの魂が、
百の命を継いでゆく物語。