あらすじ
※本作に「振り返るとそこには…」「私は恐怖で叫んだ」といった語り手の感情や解釈は一切登場しません。
決算書、取扱説明書、スマート家電の稼働ログ、勤怠打刻、動物病院のカルテ――。
ここに並ぶのは、恐怖を語るための「文体」を持たない、無機質な記録やデータの羅列だけです。
システムは異常事態に直面しても悲鳴を上げません。
どれほど決定的な狂気(バグ)であっても、すべてを「仕様」や「対応不要」として淡々と処理し、記録し続けます。
【本記録の閲覧ルール】
異常に動機や加害者はいません。ただそこに存在します。
原因の説明、正体の解明、結末の意味づけは用意されていません。
語り手の解釈は挟みません。生データから異常を見つけるのは、読者の作業です。
すべての記録は、現実のシステムの仕様に完全に準拠しています。
・真っ暗な部屋で画面を下に向けて伏せたスマホを、深夜に3回パスする顔認証ログ。
・扉が開いていないのに内容物が増殖し続けるスマートオーブン。
・4kgから12kgへ、1時間足らずの診察中に膨張していく小型犬。
作者からの種明かしはありません。
点と線が繋がり、行間に潜む「最悪の事態」にあなた自身が気づいてしまったとき……本当の恐怖が訪れます。