あらすじ

十年間、誰かの仕事を支えてきた。 営業資料を作る。 数字の間違いを直す。 納期トラブルを先回りして防ぐ。 誰かが困る前に気づいて、黙って穴を埋める。 なのに、評価面談で言われるのはいつも同じだった。 「瀬川さんはサポート職だからね」 「成果が見えにくいんだよ」 「もう少し主体性があるといいね」 そして、三か月かけて作り上げた大型案件の提案書まで営業担当の成果にされた日。 瀬川里帆は、十年勤めた会社を辞めた。 「この会社では、私の仕事は評価されないと判断しました」 次の仕事も決まっていない。 肩書きもない。 会社という看板もない。 そんな里帆のもとへ、退職後、一通のメールが届く。 送り主は、かつて彼女が提案資料を作った大手取引先。 「業務委託として、あなたにお願いしたい」 恐る恐る提示した金額は、月額九十万円。 前職の月給の、約三倍。 返ってきた答えは――。 「この条件でお願いします」 そして二か月後。 里帆を失って大型案件を回せなくなった元勤務先から、助けを求める電話がかかってくる。 里帆が提示した見積額は、 一か月、百二十万円。 「高すぎないか?」 かつての上司にそう言われ、里帆は静かに答えた。 「会社員時代の給料が、私の仕事の価値を正しく表していたとは思っておりません」 派手な復讐はしない。 会社も潰さない。 誰かを罵倒することもしない。 ただ、自分の仕事を安売りするのをやめる。 十年間「便利な人」として扱われた女性が、 自分の仕事、自分の時間、そして自分自身の価値を取り戻していく――。 静かで痛快なお仕事逆転ストーリー。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/08/09
  • 現在の作品退職後、私の見積額は月給の三倍になりました