あらすじ
結婚して、まだ半年。
王妃リュシエンヌは、幼い頃から想い続けてきた国王アルベルトとようやく夫婦になれた幸せを、大切に抱きしめていた。
即位したばかりのアルベルトは政務に追われ、夜遅くまで執務室から戻らない日も多い。
それでもリュシエンヌは責めなかった。
冷めていく夕食を前にしても。
一人きりの寝室で夜が更けても。
陛下は国のために頑張っていらっしゃるのだから。
そう自分に言い聞かせ、夫の帰りを待ち続けていた。
そんなある日、伯爵令嬢セレスティーヌが王の私室付き女官として配属される。
夜の執務へ茶を運び、書類や伝言を取り次ぎ、遅くまで働くアルベルトと顔を合わせる日々。
やがてセレスティーヌは、職務の範囲を少しずつ越え始める。
「陛下はお疲れなのではありませんか?」
「今夜くらい、少しお休みになってくださいませ」
妻より長く王の傍にいることを喜び、妻より今の王を知っていることを誇るようになっていくセレスティーヌ。
そして、ある夜。
疲れ切ったアルベルトへ彼女から口づけた。
一度は拒んだはずのアルベルトも、最後にはその誘惑を受け入れてしまう。
たった一夜。
アルベルトにとっては、二度と繰り返すつもりのない過ちだった。
けれどリュシエンヌにとっては違った。
「……私たちは、まだ結婚して半年なのですよ」
愛しているのは君だけ。
二度としない。
あの女に心を奪われたわけではない。
そう訴えられるほど、リュシエンヌには分からなくなる。