あらすじ
『死者外来』
死んだ人間は、患者じゃない。
――少なくとも、普通の病院では。
福岡の片隅にある、古びた医院。
そこを営むのは、口調はオネェ、性格は破天荒、腕だけは超一流の医師・山下光圀。
患者にはとことん甘いくせに、悪党には容赦なし。
医者としての常識から大きく外れた言動で、医師会からは問題児扱い。
そんな山下医院には、なぜか普通の病院では受け入れられない患者ばかりがやって来る。
ある雨の夜、運び込まれたのは――
「死んだはずの男」。
心臓は止まり、呼吸もない。
医学的には、完全な死亡状態。
それでも男は言った。
「先生……助けてください」
山下はため息をつく。
「死んだくらいで患者をやめるんじゃないわよ」
患者を救うためなら、常識も法律も、時には命さえも顧みない。
そんな山下のもとには、毒舌で院長をこき使う助手・とこ。
なぜか山下を「医院長」と呼び、異様な忠誠心を見せる謎の男・ミジンコ。
そして、ほんわか笑いながら何かを知っている人妻・アルル・アル――通称、アルちゃん。
彼らの周囲には、死者、記憶を失った患者、裏社会の人間、そして医学では説明できない「死」が次々と集まってくる。
これは、
死んだ人間を診る医者と、
死にたくない人間たちの、
奇妙な診療記録。
そして――
誰も知らない。
この小さな医院で始まった一人の患者の治療が、
やがて多くの人間の運命を巻き込み、
山下光圀自身の過去へと繋がっていくことを。
「アタシが患者を死なせると思ってんの?」
笑って、怒って、殴って、救う。
これは、ちょっと変わった医者が、
どうしようもない人間たちの「生きる理由」を治療していく物語。