あらすじ
地球とは異なる世界、エリシア。
そこには人類がまだ知らない古代遺跡、広大な未踏領域、魔獣、精霊、異種族、そして「エーテル」と呼ばれる未知の力によって築かれた文明の痕跡が存在している。
十八歳になったカイト・アラシは、幼い頃から憧れていたその世界へ渡るため、ワンダラー試験に挑む。
彼の夢は、最強の戦士になることでも、英雄として名を残すことでもない。
「世界で一番の研究者になる」
それがカイトの目標だった。
しかし、カイトのエーテル保有量は決して多くない。
圧倒的な力を持つ者たちが集まるワンダラー試験の中で、彼は自らの知恵と工夫だけを頼りに戦い、生き残っていく。
そして試験を突破したカイトは、ついにエリシアへ足を踏み入れる。
彼が最初に訪れるのは、巨大な水路と橋、空を行き交う飛空船、様々な種族が暮らす大都市ミリアドン。
そこでカイトは、一人の風変わりな老ワンダラーと出会う。
老ワンダラーとの交流を通して、カイトはエリシアがただ美しく未知に満ちた世界ではないことを知る。
ワンダラー同士の格差。
王族や貴族による後援制度。
命懸けのダンジョン探索。
そして、通常のダンジョンとは明らかに異なる危険性を持つ「遺物迷宮」。
やがて、カイトが再び老ワンダラーを訪ねると、その家はもぬけの殻になっていた。
残されていたのは、彼が向かっていたという一つの遺物迷宮に繋がる手掛かりだけ。
老ワンダラーはどこへ消えたのか。
遺物迷宮には何が眠っているのか。
そして、なぜ一つの遺物を巡って人々が命を懸けるのか。
世界の謎を追いかけるためにエリシアへやって来た少年は、知らず知らずのうちに、この世界の歴史そのものに触れようとしていた。
これは、世界最強を目指す物語ではない。
世界そのものを知ろうとする少年が、誰も知らない世界の真実へ辿り着く物語である。