あらすじ

遺跡には、攻める者と測る者がいる。 ハルトは、後者だ。 魔獣の巣食う遺跡に潜り、通路の幅を測り、天井の高さを控え、図面を引いて帰ってくる。剣も宝も名声も要らない。それだけで飯を食う、特級の遺跡測量士。 その日も彼は、家が代々請け負ってきた「サルカド遺跡」を、いつものように測っていた。 帰り道、崩落で塞がれた行き止まりに、見慣れない服の少女が倒れていた。 言葉が通じない。文字も違う。持ち物は、この国のどの工房にも作れない精度で出来ている。 そして――この区画に、入口はもうない。 「……どこから入った?」 言葉の通じない少女を測量助手として雇い、二人で遺跡に潜るうち、ハルトは自分が二十年書き続けてきた数字の異常に気づく。 どの遺跡も、通路の幅が同じなのだ。天井の高さも、階段の蹴上げも、寸分違わず。 人が建てた物は、必ずずれる。 ずれないものを、人は建てられない。 ――では、これは誰が造った。 剣ではなく杆を持つ大人の男と、帰る場所を探す少女。 二人が測り上げた数字は、やがてこの世界そのものの図面になる。

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小説を読もう2026/08/09
  • 現在の作品測量士と転移者