あらすじ

奥多摩の深い山林で発見された、惨殺遺体。遺体には獰猛な獣に引き裂かれたような爪痕が刻まれていて、当初はクマによる凄惨な喰害事故と思われた。  しかし、青梅署の刑事・橋下浩(はしもと・こう)は、遺体の損傷や着衣の微細な違和感を見逃さなかった。獲物をじっと待ち続ける凄絶な粘り強さから「ハシビロコウ」の異名を持つ橋下は、元生活安全課の相棒・今田真緒(いまだ・まお)とともに独自捜査を開始。これが精巧に仕組まれた「偽装殺人」であることを見抜く。  被害者は、フリー記者の白石伸夫(42)。  彼の足取りを追って北の大地・札幌へと向かった二人は、白石の孤独な生い立ちに行き着く。三十年前、両親を失った幼い白石は、養護施設でたった一人の妹・美咲と生き別れていた。「大人になったら絶対に迎えに行く」──そう約束した幼い兄妹の運命を引き裂いたのは、妹を引き取った裕福な小野寺家で二十五前に起きた「一家全焼火災」だった。  首を吊った養父母の遺体と、焼け跡から忽然と姿を消した十五歳の少女、美咲。  白石は死の直前、姿を消した妹の「現在の影」に辿り着いていた。  なぜ、兄は三十年目の約束を果たそうとした途端に殺されねばならなかったのか?  奥多摩の闇に葬られた爪痕と、二十五年前に炎の中に消えた少女の秘密。  警察組織の思惑も無視し、管轄外の捜査へと暴走する橋下と真緒が辿り着いたのは、あまりにも切なく、狂おしいまでの「愛の真実」だった──。

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カクヨム2026/08/09
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