あらすじ
「君は、何の役にも立たない」
婚約者からそう言われ、婚約を破棄された侯爵令嬢レティシア。
家から追放され、与えられた行き先は、魔物と隣国の脅威にさらされる最果ての辺境だった。
――けれど、死にかけた馬車の中で、彼女は前世を思い出す。
前世のレティシアは、日本で働く社畜OL。
終電、残業、在庫管理、発注、予算調整、業務改善。
「人が足りない? じゃあ私がやります」
「物資が足りない? 発注します」
「予算がない? 別の方法を考えます」
そんな毎日を送っていた彼女が、異世界で目覚めさせたのは――
【無限兵站《インフィニット・ロジスティクス》】
食料、薬、衣類、農具、建築資材。
領地に存在する物資を把握し、最適な場所へ配分できる規格外のスキルだった。
ところが、追放先の辺境は想像以上の惨状。
食料不足。
薬不足。
兵士の給料遅延。
壊れた倉庫。
腐っていく備蓄。
「……これ、領地じゃなくてブラック企業では?」
レティシアは決意する。
――だったら私が、この辺境を立て直します!
さらに王都からやってきた親友クロエは、経済と法律で領地を守り、辺境伯ヴァルターは圧倒的な武力と権力で二人を守る。
兵站を整える女。
金と法律を操る女。
剣と権力を持つ男。
三人が揃ったとき、誰も見向きもしなかった最果ての領地が、少しずつ変わり始める。
そしてレティシアはまだ知らない。
「君がいてくれると、俺は安心して戦える」
そう告げる無口な辺境伯が、いつしか彼女を誰よりも大切にするようになることを――。