あらすじ
「兄さまは強いけど、赤子の時から強かったのか?」
王女レティシアは、人の強さも貧しさも、本人だけで決まるとは考えない。
王家から見放された辺境の村リンデ。
そこで彼女が見たのは、働いて多く実らせた者ほど多くを納めさせられ、努力するほど翌年の負担が増えていく仕組みだった。
帳簿は正しい。役人も不正をしていない。
それでも村から人は去り、残った者たちは王族を憎んでいる。
レティシアは、王家を信じろとは言わない。
働いて増やしたものを、働いた者の手元へ残す。
仕事を作り、対価を払い、品を売れる場所を作る。
人と物が動ける道を作る。
誰かの善意ではなく、人が自分の意思で選び、その結果を受け取れる仕組みを作っていく。
けれど、仕組みを変えれば、それだけで人の心まで変わるわけではない。
王族を憎む村人。
今日食べるものさえない山狼衆。
変化を恐れる者と、それでも一歩を踏み出す者。
小さな辺境の村から始まる、王女レティシアの国づくりの物語。