あらすじ
○第2回カクヨム短歌賞【ナツガタリ'26】10首連作部門参加作品○
人生の至るところで「屁」のエピソードがある
赤子の時
その意味も知らず放っていた屁が
険悪だった瞬間の両親を
ふと笑わせた
小学生の時
ブーブークッションで弄られた
じいちゃん、ばあちゃんから最後にしていた香りは
屁の臭いだった
高校生で乗ったバイクの排気音は
屁の音をしていた
父の屁は
家の中に警報が鳴り響く
大人になって
愛想笑いができるようになった
屁を所構わずすることはなくなった
いつの間にか年老いた母の下着を洗っている
「あの頃、あなたの屁でずいぶん笑ったわ」
そう言う母の目尻に
深いシワを見つけた
若い頃は
フローラルグリーンの香りを纏っていた彼女から
もう
屁の香りがしている
!第2回カクヨム短歌賞【ナツガタリ'26】10首連作部門参加作品!