あらすじ
愛すれば、魂が流れる。
本気で想えば想うほど、自分の存在そのものが相手へと移っていく。それが、この世界の理(ことわり)だった。
魂を喰らわなければ生きていけない呪いを抱えた男、シエル。
過去二度の世界で、何も知らずに彼を愛し、空っぽになって壊れていったリリ。
そして迎えた、三度目の世界。
記憶をすべて保持したまま目を覚ましたリリは、ひとつの狂気的な結論に辿り着く。
「私が完全に空っぽになるまで、彼を愛し尽くせばいい」
私の魂をすべて彼に渡せば、彼はもう他者の魂を必要としなくなる。
これは、自分を殺して愛する人を解き放つ、最悪で美しい三度目の救済。
——満たされていく男と、欠けていく女。
最後に残るのは、救われた絶望と、二度と戻らない彼女の温度。
(短編/バッドエンド/切ない/ループ/自己犠牲)