あらすじ
強くなるたび、主人公は人間を一つずつ失っていく――「最強」と「喪失」を初めて同居させた、ダーク成り上がりファンタジー。
全財産、二百三十円。母を病で喪い、職も失い、明日の家賃も払えない。どん底の青年・神代ルカのスマホに、ある夜、それは届いた。
毎晩十時に配られる「ログインボーナス」。受け取れば、確実に強くなる。ただし、人間性を一つ、代償に差し出せば。
疲労感、記憶、母の声、人を信じる心、痛み、そして自分の顔。神代は一つずつ人間を手放し、その代わりに人智を超えた力を得ていく。
世界には、力を得た者たちの序列があった。二一四位から始まり、格上を喰らうたびに番号が上がる。喰うか、喰われるか。人間を捨てるほど、神代は頂点へ近づく。だが――登りきった先で、彼は世界の真実を知る。
進化者とは、システムに飼われる家畜。強くなるほど熟れ、熟れた実から刈り取られる。頂点とは、ゴールではなく"収穫の日"だった。
そしてもう一つの真実。半年間、毎晩コンビニで廃棄の肉まんを握らせてくれた、心優しい後輩。その正体は、彼を"育てて"いた収穫者だった。すべての優しさは、出荷の日までの計算だった。
力を根こそぎ奪われ、再びどん底に堕ちた神代。だが彼は気づく。何もかも失ったからこそ、他人が失ったものが「視える」目を手に入れていたことに。
失った記憶の分だけ、失った痛みの分だけ、彼は強くなる。人間をやめきったその果てで――奪い返す戦いが、始まる。