あらすじ
「ミレイユに、意地悪をしたそうだな」
夜会の中央で、婚約者である王太子リュシアンから公然と糾弾された侯爵令嬢セシル・ランドール。理由は、聖女ミレイユの涙ながらの訴えだった。
「……いつのお話でしょうか。確認させてください」
セシルは動じず、懐から一冊の手帳を取り出した。
社交界で「記録魔」「感情がない」と陰口を叩かれてきた彼女には、誰にも言えない理由があった。日付、時刻、同席者——身の回りで起きたことを、五年間、全て記録し続けてきたのだ。
「三日前の離宮のお茶会でしたら、参加者は五名。開始は午後二時、私が到着したのは一時五十五分でした」
一つ、また一つと、糾弾の内容が事実と異なることが証拠と共に明らかになっていく。顔色を失っていく聖女と王太子。
証拠は全て、日付順に揃えてございます。