あらすじ
【地形操作】――地面を少し動かすだけの、戦闘では役に立たないハズレ属性。
支援術師ライアンは、勇者パーティーで仲間たちの足場や退路を作り続けてきた。しかし、その働きを誰にも理解されないまま、「役立たず」として追放されてしまう。
行く当てもなく辿り着いたのは、誰からも見捨てられた『黒鉄の廃坑』。
そこでライアンが始めたのは、魔物を倒すためのダンジョン攻略ではなかった。
転んでも怪我をしない床。
崩れてもすぐに逃げられる退路。
攻撃を受けても命を落とさない訓練設備。
傷ついた冒険者をやさしく治してくれるスライムたち。
それは、かつて仲間を救えなかったライアンが作り上げた――誰も死なず、何度でも失敗できる初心者用ダンジョンだった。
「ここなら、失敗してもいいんですか?」
一人の駆け出し冒険者が訪れたことをきっかけに、役立たずと呼ばれたライアンの施設は少しずつ人を集めていく。
落ちこぼれの剣士。
魔法を撃つことが怖くなった少女。
傷を隠して戦い続けてきた冒険者たち。
安全に失敗できる場所で、彼らは誰よりも早く成長していく。
やがて『黒鉄の廃坑』は、初心者だけでなく、冒険者ギルドや各地の指導者、そしてかつてライアンを追放した勇者さえ無視できない、世界最高の訓練迷宮へと変わっていく――。
これは、敵を倒すことよりも、全員が生きて帰る道を作ることを選んだ支援術師の物語。
世界最強を育てたのは、誰も傷つかない初心者ダンジョンでした。
【主な登場人物】
◆ライアン
ハズレ属性【地形操作】を持つ支援術師。勇者パーティーを追放されたのち、黒鉄の廃坑を初心者用の訓練施設へ作り替える。本人は自分の仕事を「少し安全にしただけ」だと思っている。
◆レコー
黒鉄の廃坑を訪れた最初の駆け出し冒険者。明るく素直な剣士で、ライアンの施設のすごさを全身で体験し、最初の常連客となる。
◆フェリス
ダンジョンと施設の価値を調査する人物。冷静な専門家でありながら、ライアンが無自覚に作り出す規格外の設備には毎回驚かされる。
◆カイル
ライアンを追放した勇者。圧倒的な強さと決断力を持つ一方で、安全よりも速度と成果を優先する。ライアンとは「人を救うために何を優先するか」という点で対立していく。
【こんな物語です】
・追放された支援職によるダンジョン運営
・戦闘力ではなく、安全設計と育成で活躍する主人公
・初心者たちが失敗を重ねながら成長していく物語
・スライムや不思議な訓練設備のある、通いたくなるダンジョン
・ざまあだけに頼らず、主人公の仕事が正当に評価されていく展開
・誰も置き去りにしないことを貫く、やさしい無自覚無双