あらすじ
レグナリア王国には、たった一人で戦争の趨勢を覆す最強の戦術兵器——七英雄が存在する。そして、その英雄たちを敵陣の奥深くまで生かして送り届けるため、命を盾にする英雄直属の近衛兵がいた。
孤児院出身の王国兵レオン・ヴァルカ、二十四歳。
爵位も、金も、後ろ盾もない彼は、生家の孤児院を存続させるため、最も給金が高く、最も死亡率も高いその任務を生業にした。
彼が仕えるのは、七英雄の第四席。
十六歳の少女——『氷姫』アルティシア・フォン・エルセリオン。
数百の敵兵を一瞬で凍らせる彼女は、味方が何人死のうと顔色一つ変えはしない。
レオンは彼女を心底嫌っていた。
「近衛兵の俺たちが何人死のうが気にしない、冷徹な女だ」と。
だが、レオンは知らない。
アルティシアは八年前からずっと、彼だけを想い続けていることを。
彼女の私室には、密かに集めた(盗んだ)レオンの私物が大切に保管されている。
女が近づけば、気に入らない。親しげに笑いかければ、もっと気に入らない。できることなら、二度と近づかないでほしい。
——邪魔なら、いっそ消してしまえばいい。
これは、使い捨ての「血盾」として死地を渡り歩く男と、そんな男を誰より冷たく扱いながら、誰にも渡すつもりのない氷姫の物語。