あらすじ

むかしむかし、ある小さな王国では、若い王妃様が月に一度『詩読み会』を開いていました。

王妃様に気に入られた詩を読めば、王宮の薔薇園から一輪の薔薇をもらえる。その薔薇を軒先に飾った家の娘にはよい縁談が来る――そんな噂が広まり、城下の娘たちはこぞって王妃様好みの詩を書くようになりました。

けれど、下級貴族の娘ララだけは、どうしても流行の詩が書けません。
ララはいつも薔薇をもらえず、書いた詩を枇杷の葉の船に乗せて川へ流していました。

ところが、詩を流した翌朝には、窓辺に小さな野の花が置かれるようになります。
それは王妃様の薔薇ではないけれど、誰かが読んでくれたという証でした。

やがて野の花は途切れ、ララは詩を書けなくなります。
それから数年後、城下に現れた吟遊詩人が歌っていたのは、かつてララが川へ流したはずの詩でした。


表紙絵 ChatGPTにて生成

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アルファポリス
アルファポリス2026/08/08
  • 現在の作品【短編】川に流した詩が、野の花になって帰ってくるまで