あらすじ
十五歳の廻天晶馬(かいてんしょうま)にとって、泣いていい場所は123階建ての高層ビルの屋上だけだった。しかし、そのビルはただの建築物ではない。
体長100メートルを超える機械仕掛けの巨神たちが眠る「墳墓」だった――。
七月の夕暮れ、突如として空の底が抜け、おぞましい笑みを浮かべた「天使」の群体が地上の都市へと降りそそぐ。世界の崩壊を前に、晶馬は胸に手を当てて詠唱する。
「認識コード詠唱。プロトコル・無伴奏チェロ組曲始動」
虚空に現れる電子オルガンのキー。晶馬がヨハン・セバスティアン・バッハの調べを奏で始めたとき、高層建築の拘束具が弾け飛び、蝋細工の巨神が咆哮をあげる。
両親を失い、無条件で庇護してくれる優しい大人もいない。けれど、晶馬には誰にもできないことができる。巨神たちがいる。泣き濡れた笑みを顔に浮かべ、少年は世界の運命をになうパイプオルガンを狂振させる。
クラシック音楽×巨大ロボットSF。