あらすじ
「昔と変わったね」
そう言われることが、前田心美は嬉しかった。
昔の自分は、勉強もできず、すぐに怒り、恋人ができても愛情が重すぎる。そんな不完全な人間だった。
だから心美は、変わることにした。
怒りっぽい自分。
嫉妬する自分。
泣く自分。
傷つく自分。
自分にとって「不要」だと思うものを一つずつ捨てていく。
その方法は、ただ一つ。
『かごめかごめ』を歌うこと。
歌い終えるたび、心美は少しずつ「完璧な自分」に近づいていった。
若くして課長となり、周囲からも信頼されるようになった心美。
しかし、ある夜を境に奇妙な出来事が起こり始める。
暗闇の中で彼女を囲む、白い人影。
そして、その輪の中にぽっかりと空いた――一人分の場所。
完璧になるために、心美が最後に捨てることになるものとは。
そして、彼女が本当に「完璧」になったとき、そこに残っているのは――誰なのか。