あらすじ
精霊との契約を管理する王国で、契約解除を担当する書記官リゼのもとに、水の精霊フィアが訪れる。
「王太子を殺したいんです」
正確には、王太子アルノーとの契約を解除したいという。しかし契約を調べると、解除すればフィアだけでなくアルノーも死ぬことが判明する。しかもアルノー本人も解除を望んでいた。
さらに二十年前の契約書には、生後三日だったアルノー本人の署名が残されていた。調査を進めたリゼは、署名が偽造されていること、アルノーが契約前日に一度死亡していたこと、そして二十年前の水精霊暴走事故と自身の父の死が、この契約に深く関わっていることを知る。
やがて明らかになる真相。フィアが王子を救ったのではない。死んだ王子と瀕死の精霊を、王国が互いの生命で強制的につなぎ止めていたのだ。
二十年間、互いを救うため自分が消えようとしてきたアルノーとフィア。
リゼは「どちらか一人が犠牲になる契約」を拒み、二十年前には存在しなかった双方の自由意思による新たな契約を作ろうとする。
これは、誰かに決められた命の使い方を、自分たちの手に取り戻す物語。