あらすじ
自分の不用意な言葉で親友を傷つけ、自分の「声」を見失ってしまった高校二年生の葵。ある日の放課後、取り壊しの決まった旧校舎の放送室で、埃をかぶった大正時代の木製ラジオを見つける。
それに触れた瞬間、激しいノイズと共に葵は100年前――大正14年の東京へとタイムスリップしてしまった。
見知らぬレトロな街で迷子になった葵を救ったのは、ラジオ局でアナウンサーを目指して健気に働く少女・紡だった。理不尽な男尊女卑の時代でも「声で人を励ましたい」と奮闘する紡に惹かれ、葵は現代のボイストレーニングを教えて彼女を支え始める。
しかし、幸福な時間は長く続かない。葵の持つスマホの歴史データが、紡が数年後の空襲で命を落とす残酷な未来を告げたのだ。さらに、葵のタイムリミット(現代への強制送還)もすぐそこに迫っていた。
「お願いだ、僕と一緒に未来へ逃げよう」
涙ながらに訴える葵に、紡がマイクの前で告げた気高き「覚悟」とは。100年の時を超えて、一本の古い録音テープが奇跡を起こす――。ハンカチ必須の、時をかける純愛青春ストーリー。