あらすじ
海の底には、もう一つの世界がある。
陽の光さえ届かない深海。
そこには青白く輝く珊瑚や海月が広がり、人魚族、魚人族、そして様々な獣人族が暮らしていた。
その深海の街にある、海淵診療院。
院長を務めるのは、白銀の髪と長い兎耳を持つ青年――アクアリオ・ルナティウス。
二十七歳にして名門ルナティウス家の末裔である彼は、医師として多くの命を救っている。しかし、アクアリオには一つの謎があった。
兎人族であるはずの彼は、なぜ海の中で自由に呼吸できるのか。
そして、代々ルナティウス家に伝わる《生命の水》。
海の底で交わされた、遠い昔の契約。
深海航路から戻った患者に現れた謎の紋様をきっかけに、アクアリオは自らの血に眠る秘密へと少しずつ近づいていく。
これは、深海に生きる一人の医師と、海の世界を巡る秘密と運命の物語。
やがて地上と海を繋ぐ出会いが、アクアリオの運命を大きく変えていく――。