あらすじ

町の庭師ロアンが、市場で一本の苗を買った。 それは、植えてから百年後にようやく花を咲かせるという「百年花」。 ロアンは五十六歳。 どう考えても、自分がその花を見ることはできない。 妻には呆れられ、町の人々には笑われた。 「百年後なんて、この国があるかも分からんぞ」 ロアン自身も、それを否定しなかった。 戦争が起きる。 町が焼ける。 食べ物がなくなる。 妻を失う。 自分も老いていく。 百年後どころか、明日のことさえ分からない。 それでもロアンは、水をやり続けた。 やがてその水やりは、一人の少女へ、その娘へ、孫へ、そしてロアンの名前すら知らない人々へと受け継がれていく。 誰に命じられたわけでもない。 立派な教えが残されたわけでもない。 ただ、昨日まで誰かが水をやっていたから、今日も誰かが水をやる。 そうして百年。 ついに、一輪の花が咲く。 これは世界を救う英雄の物語ではない。 百年後が来る保証なんてなくても、 それでも百年後が来るつもりで今日を生きた、一人の庭師と町の物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/08/08
  • 現在の作品百年後に咲く花