あらすじ

大学一年目の春、僕は神戸・元町の学生寮に引っ越した。 西向きの大きな窓がある角部屋。夕暮れの光、舞い上がる埃、大通りを走る車、新快速の音、港の汽笛。部屋の中に入り込んでくる神戸の空気を、僕は肺いっぱいに吸い込んだ。 ただ一つ、気に入らないことがあった。 窓が十センチほどしか開かないのだ。 かつてこの寮で、窓から身を投げようとした者がいた。そのための安全対策だった。 わずか十センチの間隙。 けれど、その隙間から海風が入り、街の音が聞こえ、僕の新しい生活が始まっていく。

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カクヨム
カクヨム2026/08/08
  • 現在の作品神戸元町、十センチの間隙