あらすじ
魔術協会・翡翠省に所属するレオナ・フルレールは、かつて特別研究班の班長として将来を嘱望された魔術師だった。しかし、書庫火災事件で“内部犯行の疑い”をかけられ、同僚の嫉妬と陰謀により失脚。今では上司の罵倒と同僚の侮蔑に晒されながら、魔術に触れることすら禁じられた日々を送っている。
眠れず、味も匂いも分からず、思考すら霧に沈む。
壊れゆく自分を自覚しながらも、レオナはただ一つの目的──
「死んだ母を蘇らせる魔法の存在を証明する」
そのためだけに生き続けていた。
そんな彼女に与えられたのは、片田舎に住む最下位帯の魔術師・ウィリアムの監査という屈辱的な雑務。魔術すら満足に扱えない男だと侮って訪れたレオナは、彼の奇妙な生活に振り回されながらも、久しく忘れていた“世界の色”を少しずつ取り戻していく。
そして二日目の夜──
ウィリアムはレオナを井戸へと誘い、底へ突き落とす。
落下の先にあったのは、
「星畑」──果てのない暗黒空間に無数の光が瞬く、魔術の理を超えた世界。
ウィリアムは告げる。
これは自分が二百年前に造り、絶望の果てに引きこもっていた“自分だけの世界”だと。
そこで彼女は“生きること”と向き合うことになる。
これは、ひとりの魔術師が“もう一度歩き出す理由”を見つける物語。
全十七話。更新は21:04。