あらすじ
ユゴルス・レヴェルトは、穏やかな日々に慣れていた。
将軍としての仕事、終わりのない書類、滅多に起こらない事件、そして待ちに待った休暇――そんなものが、彼の変わらない日常を乱すことなどないと思っていた。
だが、ある日。
トリネス要塞の保管庫に、謎めいた銀髪の魔女が侵入する。
彼女は警備をものともせず突破し、伝説の「氷樹の杖」を盗み出そうとしていた。
彼女の名は、セラリナ。
本人にとっては、ただの思いつきによる行動に過ぎない……のかもしれない。
あるいは、その目的の裏には、何か別の理由が隠されているのかもしれない。
ユゴルスはセラリナを拘束する。
しかし、彼女を尋問官へ引き渡す代わりに、ユゴルスは彼女とともに遠い旅へ出ることを決めた。
少女の語る話には、どこか噛み合わない部分があったからだ。
まったく異なる二人が互いを理解しようとする中、セラリナの過去は少しずつ、二人のもとへと迫っていく。
「氷樹の杖」と「紅の教団」、そして九年前に起きた事件。
この三つを結びつけるものとは何なのか?
そして――
将軍と魔女の出会いは、なぜ二人自身の運命だけでなく、これから訪れる未来さえも変えてしまうのか?