あらすじ
深夜二時四十七分。自室のデスクで、売れないホラー作家の「あなた」は一作の小説を執筆していた。
テーマは「日常を侵食する完璧な恐怖」。夜な夜な現れ、人間の体内に忍び込んで意識と肉体を乗っ取る、顔のない不気味な怪物についての物語だ。思い描いた通りの恐ろしい描写に手応えを感じ、一段落ついたその時、部屋の温度が氷点下のように急降下する。
背後に漂う、湿った土と腐敗の匂い。
パソコン画面の黒い枠に映り込んだのは、たった今自分が文章として打ち込んでいたはずの、あの「顔のない怪物」だった。
画面から飛び出したかのように襲いかかる怪異。冷たい指が喉の奥へと滑り込み、絶望的な侵食が始まる。自らが描いた恐怖のシナリオ通りに存在を消し去られるかと思われたその瞬間、事態は思わぬ方向へと狂い出し——。
恐怖の執筆作業は、やがて予想だにしない異様な真実へと繋がっていく。