あらすじ
織田信長二千、今川義元二万五千――。
圧倒的な兵力差を覆し、今川義元を討ち取った「桶狭間の戦い」は、日本史上もっとも有名な逆転劇のひとつである。
かつては「上洛を目指す今川軍を、信長が迂回奇襲で破った」と語られてきた。しかし現在、この定説には多くの疑問が投げかけられている。
では信長は、なぜ勝てたのか。
その答えを探っていくと、桶狭間の一日だけを見ていてはわからない。
祖父・織田信定が築いた経済基盤。父・織田信秀が広げた勢力。若き信長による兵法、鉄砲、軍制の研究。そして尾張統一まで繰り返された数々の戦いと決断。
一方の今川義元もまた、決して油断した凡将などではなかった。
両者が積み上げてきた二十年以上の歴史が、1560年5月19日、桶狭間へと収束する。
そして最後に信長へ味方したものは、人間にはどうすることもできない「運」だった。
「人事を尽くして天命を待つ」。
史料と戦況をたどりながら、伝説ではない桶狭間と、そこに至る織田信長の決断を考える歴史ノンフィクション。