あらすじ
深夜の首都高速が、サーキットとして解放されて三年が経つ。
かつて道交法の下だったこの道には、今も変わらず夜の連中が集まってくる。速さを求めて。何かを追いかけて。あるいは、何かから逃げるように。
中村涼が初めてこの道に入ったのは、理由とも呼べない理由からだった。
その夜、黒いHonda Fitに出会った。
抜かれた、という表現すら正確ではなかった。存在を無視された。停まっているかのように、通り過ぎられた。
それだけで、すべてが変わった。
ライバルと走り、負け、また走る。車が変わり、自分が変わる。やがて涼の青いインテグラは、この首都高に噂として広まり始める。誰かのバックミラーの中に、繰り返し現れる蒼い影として。
しかし涼はまだ知らない。
蒼い残光と呼ばれる存在のことを。それを追い続ける者たちのことを。そしてあの黒いFitのドライバーが、何を見て、何を追いかけているのかを。
速さとは何か。追いかけることの果てに何があるのか。
答えは、この道の先にある。