あらすじ

辺境の町で、料理のまずい酒場《灰猫亭》を営むガルド・ヴァレイン、四十八歳。 店は赤字、服装にも無頓着で、飼い馬からさえ嫌われている。 だが、その正体はかつて《灰冠》の異名で恐れられ、幾つもの戦争を終わらせた伝説の傭兵王だった。 ある嵐の夜、ガルドの前に男装の少女リシェルが現れる。 三年前に滅びたエルディア王国最後の王女である彼女は、一枚の古い銅貨を差し出した。 それは二十年前、ガルドが守れなかった少女傭兵セラと、海へ行く約束を交わした時の銅貨だった。 「私を白鐘修道院まで連れていってください」 報酬は、銅貨一枚。 過去への償いのつもりで依頼を受けたガルドだったが、旅の先には王女を捕らえようとする王国騎士、彼女を旗に祖国を取り戻そうとする旧部下、そしてガルド自身が焼き払った街の因縁が待ち受けていた。 敵を倒すことはできる。軍を率いることも、戦場を焼き尽くすこともできる。 だが、本当に守るべきものは何なのか。 老いた身体と消えない後悔を抱えながら、ガルドは再び剣を取る。 誰かに勝つためではない。 一人の少女を、彼女自身が選んだ未来まで送り届けるために。

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カクヨム
カクヨム2026/08/08
  • 現在の作品灰冠の傭兵王は銅貨一枚の依頼を断れない