あらすじ
ある日、文月栞奈は、仕事帰りに一人の子供を助けた。
ボールを追いかけて道路へ飛び出した子供を庇い、迫り来るトラックを前に目を閉じた――そのはずだった。
次に目を開けた栞奈がいたのは、見知らぬ場所。
足元には巨大な魔法陣。
周囲には魔法士と騎士。
そして、栞奈と同じように召喚されたらしい、もう一人の少女がいた。
突然の出来事に戸惑う二人。
そんな彼女たちの前に現れた三人の王子たちは、もう一人の少女には優しく声をかける一方、栞奈には冷たい態度を取る。
なぜ、自分だけが?
何の説明もないまま勝手に異世界へ呼び出され、挙げ句の果てには歓迎すらされない。
元の世界では、家族こそいなかったものの、友人にも仕事にも恵まれ、自分なりに満ち足りた日々を送っていた。
そんな日常を突然奪われた栞奈は、理不尽な扱いに少しずつ怒りを募らせていく。
そして――その感情が限界に達した瞬間。
周囲の空気が、異様なほど冷たくなった。
凍りついていく床。
騒然とする魔法士たち。
自分自身ですら理解できない力。
――私は、一体何のためにこの世界へ呼ばれたの?
なぜ自分が召喚されたのか。
なぜ王子たちは栞奈を必要としないのか。
そして、彼女自身も知らない、この世界との繋がりとは――。
これは、望んで異世界へ来たわけではない一人の女性が、理不尽な運命に抗いながら、自分の居場所と生き方を見つけていく物語。
誰かに必要とされるためじゃない。
誰かに決められた人生を歩むためでもない。
自分の人生は、自分で決める。
――私は、この世界でも自立して生きていきます。