あらすじ
大陸の東の果て――かつて、そこには樹木と切り出された白亜の石で作られた、自然との調和の美しさを誇る魔法大国があった─その名は、アッシュフォード王国。
しかし十七年前、秀でた精霊魔法を操る彼らを脅威とみなした他国の悪意と、世界を漂白せんとする凶悪な呪詛の炎により、その地は一夜にして灰燼に帰した。
歴史の表舞台から消し去られ、人々に口に出すことすら禁じられた滅びの地。通称『世界の墓標』。
だが、その絶望の底から生き残った、幼き王女がいた。
ティール・エルドラ・フォン・アッシュフォード。
彼女の内に眠るのは、世界の構造や魔素の流れ、そして未来の因果すらもデータとして視認・演算する力。遥か昔に建国して間もなく、人々からは『神の瞳』と呼ばれるようになったその視界は、アッシュフォード王家の人間に人智を超えた力を与えた。
しかし国が滅びた時、全てを切り捨てて新たな人生を生きると決めた彼女は、やがて隣国ジルニア王国で、特級執行官という立場まで自力で上り詰める。
誰よりも強く、気高く、美しい彼女の計算された平穏と穏やかなティーたタイム。
だが、そんな彼女を狂わせたのは、切り捨てた過去を超える「情熱と愛」を持った仲間たちだった。
本来ならば交わるはずのなかった無法者と壊れた天才たちは、ティールの孤高の瞳に導かれ、命を賭した狂騒の戦いへと身を投じていく。
悪しき者により漂白された幾千、幾万の歴史と、大陸の東の果てに眠る呪詛の真相。
絶望的な戦いの果て、彼女は「全てを拒絶する盾」を捨て、全てを包み込む「祝福の光」へと至る――。
これは、神の瞳を持つ孤高の王女が、最高の仲間たちと共に歪んだ因果を逆転させ、やがて人の愛という名の光を数えるまでの物語である。