あらすじ
「お前のことなど、もう誰も覚えていない」
王太子ジェラルドの言葉と共に、婚約破棄を突きつけられた聖女セラフィーナ。魔物の氾濫を鎮め、疫病を封じ、三年に及ぶ北方結界を維持してきた彼女の功績は、すべて新しい聖女レナのものにすり替えられていました。
ですが、それは当然のこと。だって彼女こそが、記憶を対価に国土へ加護を与える聖具『忘却の泉』の真の管理者。自らの功績の記憶を捧げ続けることで、王国を守ってきたのですから。
前世は過労死した危機管理コンサルタント。無給、無休、無感謝、おまけに功績まで搾取される——ブラック企業も真っ青の労働環境に、彼女はついに決断します。
「いいえ。何も申し開きはございませんわ」
ならば、こちらから全部忘れて差し上げましょう。王国ごと、忘却して——。
ただ一人、記憶を奪われてなお彼女を慕い続けた老侍女。そして、彼女の価値に気づく竜将軍ヴォルフ。搾取に満ちた人生を捨てた元社畜令嬢が、今度こそ正当な報酬と、本当の幸せを手に入れる痛快転生ざまぁ物語。
そして忘却の泉の底では、彼女すら知らない「もう一つの前世」が、静かに目を覚まそうとしていた——。